導入事例
導入事例― 株式会社 陣屋様 ―
老舗旅館が目指した「おもてなし」のさらなる進化
- Cisco Meraki 活用によるネットワークの一元管理とこれからの展望 -
最新のデジタル技術を自社のビジネスに組みこみ、さらなる飛躍を目指していく――。
そんな取り組みを進めているのが、神奈川県・鶴巻温泉の老舗日本旅館「元湯 陣屋」です。同旅館では、クラウド管理型ネットワークシステム「Cisco Meraki」(シスコ・メラキ)を新たに導入。自社開発のクラウド型旅館・ホテル情報管理システム「陣屋コネクト」と組み合わせることで、より最適なお客様サービスの実現や、スタッフの業務効率化に役立てています。
導入ユーザ
株式会社 陣屋様
約100年に及ぶ歴史を有する老舗日本旅館。豊かな湧水に恵まれた丹沢山麓に位置しており、美しい自然と名湯・鶴巻温泉のいで湯をゆったりと楽しむことができます。1万坪の庭園や囲碁・将棋のタイトル戦の舞台である「松風の間」も必見。また、先進ICTの活用にも取り組んでおり、多彩な機能を網羅したクラウド型旅館・ホテル情報管理システム「陣屋コネクト」を自社開発。国内200以上の宿泊施設でも導入・活用されています。
販売パートナー
ディーアイエスソリューション株式会社
ダイワボウ情報システムグループのICTソリューションプロバイダーとして、「クラウド・データセンターサービス」「システムインテグレーション」「アプリケーション開発」「コミュニケーションエンジニアリング」「システム運用&サポートサービス」など、幅広い領域にわたるサービスをワンストップで提供しています。
事例のポイント
- 陣屋様のチャレンジ
- 既存のワイヤレスシステムで課題になっていた動作の不安定さを解消し、お客様へのサービス向上や社内の業務効率化に貢献する先進的なネットワークインフラを確立すること。
- Cisco Merakiを選んだ理由
- 「Wi-Fi接続端末の位置情報を取得する機能が備わっている」
「アクセスポイントをクラウドで一括管理することで運用管理の効率化が図れる」などの点が採用の決め手に。
- これからの展望
- 陣屋コネクトとCisco Merakiを組み合わせ、お客様の位置情報を活用した新たなサービス施策を展開。
また、自社実践で培ったノウハウを陣屋コネクトのユーザにも提供。
経営危機を乗り越えるため旅館・ホテル経営システムを独自開発
小田急線・鶴巻温泉駅の駅前からほど近く。閑静な住宅街の一角に、鬱蒼とした緑に包まれた日本旅館「元湯 陣屋」は佇んでいます。
同旅館ではかつて深刻な経営危機に直面していました。この苦境を打開するカギとなったのが、先進ICTによる業務改革でした。
第四代当主の宮崎富夫氏は「経営を立て直すには、働き方を抜本的に変えて生産性向上を図る必要があります。そこで『陣屋コネクト』と名づけたクラウド型旅館・ホテル経営システムを自ら開発。おもてなしに必要な情報を全スタッフが一元的に活用できるようにすることで、サービス向上と業務効率化を目指しました」と振り返ります。
これにより同旅館では、わずか数年で復活を遂げることに成功。現在では陣屋コネクトの外販も実施しています。
「陣屋コネクト」のさらなる活用に向け、ワイヤレスの刷新に着手
そして今回、同旅館では、陣屋コネクトやお客様向けWi-Fiサービスの基盤となるワイヤレスシステムの刷新に着手しました。宮崎氏はその背景を次のように話しています。
「既存のワイヤレスに接続不良などのトラブルが発生していたことが直接のきっかけです。ワイヤレスが安定せず、滞在中のお客様から『つながらない』というクレームが頻繁によせられていました。そのたびにアクセスポイント(以下、AP)やルータを再起動して対応していましたが、何しろ敷地が一万坪もありますので、APの数が50台くらいに増えるとトラブル箇所の特定も難しくなり、復旧に時間がかかってしまうことが多くなっていたのです。外国のお客様などはワイヤレスがつながらないだけで帰ると言われたりするので、急場しのぎでテザリング用のiPhoneをお貸ししたこともあります。スタッフも『またか』という感じで疲弊していました」。
宮崎氏がシステム刷新にあたり考えたのは、安定性の確保に加えて、外からでもネットワークの状況が見える化できるようにすること、そして顧客満足につながる新たなサービスの創造でした。
「お客様に最適なおもてなしを提供する上で、ワイヤレスの安定性は非常に重要。また、現在当旅館ではIoTの活用にも取り組んでいますので、これを機にワイヤレスを活用した新たなサービスを生み出せないかとも考えました」と語ります。
端末の位置情報取得機能に着目し「Cisco Meraki」を選択
こうしたニーズにマッチする製品として採用されたのが、クラウド管理型ネットワーク「Cisco Meraki」です。
宮崎氏は製品選択のポイントを「まず注目したのが、Wi-Fi端末の位置情報取得機能です。これを利用すれば、お客様が部屋を出られたことを受けて玄関でお待ちしたり、浴室のご利用者数が一定の人数に達したら近くのスタッフに清掃の通知を出したり、といったことが実現できます。今までは考えられなかったようなサービスを創出できる可能性を強く感じました」と語ります。
また、Cisco製品に対する信頼感の厚さも大きな決め手となりました。
技術力とサポート力の両面から信頼できる構築パートナーを選ぶ
さらに、プロジェクトのパートナーには、ディーアイエスソリューションを選定。宮崎氏は「陣屋コネクトのユーザ企業の方々と話していると、ワイヤレスの運用で悩まれているところが非常に多い。当旅館は陣屋コネクトのショールーム機能も担っていますので、ここでの取り組みは他の旅館・ホテルの参考になるようなものでなくてはなりません。それだけに、高い技術力とサポート力を備えたパートナーと組みたいと考えました」と話します。
ディーアイエスソリューションでも、同旅館の期待に応えるべくさまざまな取り組みを展開。同社の菅野明武氏は「シンプルで高信頼なネットワークを実現すべく、有線部分も含めた見直しを行いました。たとえば、ゲスト用/スタッフ用で物理的に分かれていた回線を一本に統合し、VLANによる分離を実施。また、AP同士の干渉やローミングなども徹底的にチェックしました。
自社実践で培ったノウハウを、他の旅館・ホテルにも展開
現在同旅館では、屋外型AP「MR74」×5台と屋内型AP「MR33」×34台をそれぞれ導入。これによりワイヤレスの安定性を大幅に向上させることに成功しています。「従来は屋内型APをケースに入れて屋外で運用していましたので、屋外型APが用意されているのはありがたい。つながりやすさ、切れにくさも改善し、滞在中のお客様からのクレームなどもなくなりました」と宮崎氏は満足げに語ります。旧環境からの移行も、ディーアイエスソリューションの的確な支援によりわずか2日間で完了。Cisco Merakiは「ゼロタッチ導入」が可能なため、本稼動後のAP増設も極めてスムーズだったとのことです。
また、優れた運用管理性も高く評価。「クラウドから簡単に状況を確認できるのも便利ですね。一度、落雷による停電に見舞われたのですが、その時も工事業者から連絡が来る前に、外からMerakiのダッシュボードで停電復旧を確認できました。物理コントローラで制御する通常の製品だと、とてもこうはいきません。クラウド管理で優れた運用管理ができるCisco Merakiなら、陣屋コネクトのユーザに安心してお薦めできます」と宮崎氏は語ります。
現在、旅館のレイアウト図とAPの位置を組み合わせたヒートマップを作成し、Wi-Fi端末の位置情報も必要な時に見られるようにしています。
「今後は陣屋コネクトとCisco Merakiの連携を強化し、位置情報の確認などを陣屋コネクト上からも行えるようにしていきたい。先にも触れた通り、お客様の場所を活かした新しいサービスを創出できれば、陣屋コネクトユーザの旅館・ホテルにも大きなメリットを提供できると考えています。ただし当社ではハードウェアは扱いませんので、パートナーであるDISグループにも、全国のサポート・営業網を生かして、我々の取り組みを引き続き支援して欲しいですね」と宮崎氏は展望を語りました。
製品紹介
Cisco Meraki
Cisco Merakiは、100%クラウド管理を実現するネットワークソリューションです。アクセスポイントやセキュリティ、スイッチなどの製品を、単一の管理画面から統合的に管理。少人数でも効率的な運用が行なえます。
機器の設定情報なども自動でダウンロードするので、「ゼロタッチ」での多拠点導入が実現できます。